新旧映画のレビューを配信します
2011年1月公開のSF邦画「GANTZ」は、奥浩哉が描いた漫画とは設定が所々違っていました。
ですが、映画は映画できちんと確立して良作になっていたと思います。
GANTZの主な相違点のひとつは、年齢です。
漫画では主人公の玄野計や加藤勝は高校生で、西丈一郎は中学生の設定でした。
ですが映画ではそれぞれ学歴が繰り上がり、玄野たちは大学生に、西は高校生になっていました。
漫画ではたくましく描かれる高校生も、実写版になると急に子どもっぽくなることがあります。
そうなると緊迫感が薄れる場合もあると思います。
年齢を上げることで、GANTZの戦いをより深刻なイメージに出来たのではないでしょうか。
GANTZの相違点はまだあります。
それは、登場人物の性格です。
映画の玄野は原作より気弱で優しい人になっていました。
漫画の玄野はダメ人間に見えても強いところが目で観てわかります。
けれど映画の玄野は、強い雰囲気をあまり見せていません。
だからこそ強さを発揮した時はそのギャップにやられます。
加藤も原作ではヤンキーっぽさがすごくあるのに、映画だと少しヤンチャなお兄ちゃんです。
加藤が優しい人だと言うことをもっと分かりやすくしてくれたように感じます。
西くんはほとんどイメージ通りでしたが、原作の初期ではなく復活したあとの顔を参考にしたのが伝わります。
女性からの支持を得るためにも、初期イメージの西にしなかったのは正解だと思います。
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GANTZ perfectanswer と漫画GANTZのラストは、別物でした。
もっとも、perfectanswerが公開した2011年4月の時点では原作は完結していなかったので、必然的に漫画とは異なったエンディングにせざるを得ないのですが。
私は漫画版のラストも映画のラストもどちらも、好きです。
かっこいいラストは漫画で、感動するラストは映画の方だと思います。
漫画のラストは玄野計ら主人公枠だけが生き残りますが、映画は玄野だけが犠牲となり他のGANTZメンバーが生き残ります。
玄野が自らをGANTZ球の中に閉じ込めて、みんなを戦いから救いだしたのは、映画の玄野の優しさを存分に現しています。
記憶を消されて解放されたメンバーが何事もなかったように生活を送る姿を見ると、人の幸せは誰かの優しさで成り立っているのだと気がつかされます。
映画のクライマックスで、たえちゃんがチケット2枚を手に遊園地のベンチに腰かけているシーンは特に印象的です。
記憶がないから誰と来る予定だったかわからない中、観覧車の伝言掲示板に流れた玄野からの告白文を読んで涙を流したのは、心の中に玄野の存在があったからだと思います。
お互いへの愛が確かに深まっていました。
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